川井 郁子 バイオリンコンサート

2007年5月3日(木)日本大学カザルスホールにて

【演奏者】川井 郁子 Ikuko Kawai

【プロフィール】
香川県高松市出身。東京芸術大学卒業。
同大学院修了。大阪芸術大学(芸術学部)教授。
ソリストとして、今までにN響、読売日本交響楽団、新日本フィル、ワルシャワ・フィル他と演奏、2003年12月には世界的コンダクター、チョン・ミョンフンと、更にジャンルを超えて、シーラ・E、フェイ・ウォンやジプシー・キングス他ポップス系のアーティスト達、バレエ・ダンサーの熊川哲也とも共演している。
活動の場は日本だけではなく韓国、台湾などアジアにも広がる。アメリカでもフィギュア・スケート選手のミシェル・クワンが「レッド・ヴァイオリン」の曲を使用して世界選手権で一位に輝き、川井の名前が一躍注目を浴びた。
作曲家としても、ジャンルを越えた音楽作りに才能を発揮。2003年12月、東京国際フォーラムで自作の「オーロラ」を東フィルと共演、大成功を収めた他、テレビやCM等映像音楽の作曲も手がける。
その活動は多岐にわたり、自身初のフォトエッセイ『レッド・ヴァイオリン〜光と影を抱いて〜』(毎日新聞社)の発売も注目を集めた。
舞台では、自身の音楽世界に加え独自の表現世界を持ち、舞踊劇・音楽劇の出演や、2005年からはオリジナルステージ『Duende』(ドゥエンデ)のシリ−ズ化などますますその活動の場を広げている。
また、自身のCD制作やコンサート・ツアーなどの音楽活動に加えて、チャリティー・コンサートや麻薬撲滅キャンペーンなど、社会活動にも積極的に参加している。
オリジナルアルバム「オーロラ」「嵐が丘」では常にクラシックチャート上位に、抒情歌を収録したアルバム「La Japonaise」ではオリコンチャートでクラシック界では異例の20位を記録し、話題を呼んでいる。
2007年3月にベストアルバムを発売予定。




バイオリンdayのもうひとつの大きなイベントが、今最高に
乗っているバイオリニスト川井郁子さんのコンサート。彼女の
演奏(「レッドバイオリン」)をフィギュアスケートのミシェ
ル・クワンさんが使ったことはとみに有名です。そんな川井さ
んをお招きしてのコンサート。どんな展開になる
のか、どきどきしながら開演を待っていました。同じような気
持ちでカザルスの玄関に並んでいた方、多いんじゃないかな。


 
 
カザルスにはいって驚いたのは、舞台の上にそびえる4本の白い「柱」。実際には天井からつられた4枚のカーテンがそれぞれ筒型にまるめられていたのですが、客席が暗くなるとそれが青く光りはじめ、そしてギターのトレモロにのって川井さん登場。この「仕掛け」はこの日のサイレントバイオリンや伴奏音源の音響設備をしていただいたヤマハのみなさんの創意工夫に
よるものだったのだそうです。後述するように、独特の音世界をもつ川井さんのコンサートには実にピッタリの演出でした!
まず演出をほめちゃうのは順序が逆かもしれませんが、あまりにすばらしかったのでお許しを。
     
さていよいよ、コンサートが始まります。ギターに天野清継氏 、ピアノにフェビアン・レザ・パネ氏という、いずれも独自の音世界をもつ手練(てだれ)をしたがえ、白いドレスをまとった川井さんはしなやかにファリャの「ポロ」とご自身の作曲による「エル・フラメンコ」、そして、映画音楽の王者マンシーニの作品中ご自身が一番好き、と語る「ひまわり」を演奏。そおして失恋した(川井さんをフル、という人の気が知れませんね?)時に見上げた満開の桜への思いをこめた「さくら」など、独特のikukoワールドを堪能させてくれました。そしてサンバ風味の「パッション・イン・ブルー」で前半終了。単にポップスっぽいアレンジをほどこす、のではなく、たとえばよく知られた楽曲にも独自のフレーズをくわえて壮大な(そう、川井さんの音楽はそのスリムな姿に似合わず、しなやかにして壮大な感じがするんです)独自の質感豊かな音世界を構築してしまうところは、音楽好きなら誰しもハマってしまうところかもしれません。
     
おりから初のベストアルバム発売されたばかりで、「嵐が丘」などのDVDとともに注目をあつめていました。もちろん、熱演にほだされて、展示してあった弊社オリジナルのシモーラバイオリンやヤマハのサイレントバイオリンをさわってみる、という方も大勢いらっしゃいました。名演奏は、やはり「その気にさせる」のですね。そういう方がどんどん増えるとうれしいです!
     
淡いピンクの衣装で登場した後半は「エル・チョクロ」「ラ・クンパルシータ」などのラテンの名曲から。これもikukoワールド全開で痛快無比なしあがりに感動。生まれたばかりのお嬢様の名前を冠した「花音(こう書いて「かのん」と読ませるのです)」や、最近研究しているという中国や中近東のリズムをモチーフにした「キャラバン(エリントンの名曲とは無関係)」、そしてヤマハのサイレントバイオリンにもちかえ、サイレントバイオリンとプリレコーデッドの伴奏音源のみの演奏で「レッドバイオリン(原曲は「アランフェス協奏曲第二楽章」)」を披露(これが先述のクワンさんのフィギュアの名演で世界的に川井さんの名を知らしめることになった楽曲なのです)。とまあこんな感じで、息もつかせぬ展開でコンサートは盛り上がり、そしてアンコール。平原綾香の絶唱で一世を風靡した「ジュピター」を、これまたikukoワールドにひきづりこんでの大熱演がすばらしく、終演後も拍手はなかなか鳴り止みませんでした。
   
ちなみに、川井さんは6月21日より銀座博品館にて「ドゥエンデII」という舞台に出演されるそうです。なんと主人公の「夕顔」「サロメ」という一人二役?に挑戦するとか。源氏物語のたおやかな姫である「夕顔」と、情熱的な「サロメ」という両極端な個性を演じ分けることで、女性の中の二面性を表現したかったのだとか。もちろん演技だけではなく、演奏もたっぷり楽しめるそうです。タイトルの意味はスペイン語の「小悪魔」。ううむ。実に意味深ですね。
     
   
                     
 
   
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